〇〇のかたちを探す #6 青柳菜摘|テーマ:絵本
〇〇のかたちを探す #6 青柳菜摘|テーマ:絵本
読み聞かせ|[むらさきいろのつごうさん]
http://blanclass.com/japanese/schedule/20170520/
物語には、時間がある。私にとっての時間とは過去や現在、未来に属するようなものだけれど、物語にとって、そのどれでもないことがある。もとは私と関わり深かった「時間」が、「物語」に変わるとき、まったく異なる「時間」に変わってしまうのだ。その、物語がもつ時間について今話したい。
出演:青柳 菜摘/企画:野本 直輝
場所:blanClass
日程:2017年5月20日(土)
開場:18:30 開演:19:30
ディスカッション「絵本について」 20:30~
入場料:1.500円(ワンドリンク付)
blanClass+column
今週の土曜日5月20日は、〇〇のかたちを探す#6。
シリーズ6回目のゲストは青柳菜摘さん、テーマは絵本。
青柳さんはアーティストで、だつおという名前で活動していたりもします。それと、東京の王子にあるコ本やという古本屋を仲間と共に経営しながら、同時にコ本やの空間で色々なイベントやワークショップ、展覧会などの企画も行っています。
青柳さんには、彼女自身が何かの物語に出てくるキャラクターっぽさというか、マスコットのような雰囲気というか、独特のキャラ性を感じていて、それは彼女の作品においても全体を貫く大きな要素として機能しているような気がしている。
たとえば彼女の作品では、彼女自身が映された映像の上に、同時にそこに映る彼女がiPhoneで撮影している彼女視点の映像が重ねられ、そこに彼女のナレーションが覆いかぶさるように挿入される。
別々のカメラで撮影することで現れた視点と別視点とが、全体としてはひとつの入れ子の状況として配置され直し、それを見る側は、接近と離脱を繰り返すようにして、映像の中にいる彼女の視線に物語の行方を想像することになる。
それは物語に登場するキャラクターに感情移入して、次の展開を読みたくなるような心地よさに似ている。
今回のテーマは絵本なのだけれど、元々は絵本作家になりたかったという青柳さん。
僕の印象では、青柳さん自身が、絵本の中の登場人物化しているようにも感じられる。
当日は、お客さんにはタブレット端末やスマートフォンなどを使用してもらって、手元で映像を見ながら、青柳さんがその場で読み聞かせのパフォーマンスをするらしいのだけれど、それを聞いて僕は、子供の頃によく読んだ(というよりも遊んだ?)、飛び出す絵本のことを思い出した。
次のページを開くと出てくるものがあって、同時に前のページは閉じられてきちんと見えなくなるものがある。そのカラクリを確かめたくて、何回か繰り返し同じページをパタパタやる。
今回のパフォーマンスでは、そういう行ったり来たり、接近と離脱のような状態の中に青柳さん自身が立っている姿も見られるのかなとか、勝手に想像している。
(野本直輝)
青柳 菜摘 Natsumi AOYAGI
1990年東京生まれ。ある虫や身近な人、植物、景観に至るまであらゆるものの成長過程を観察する上で、いかに記録メディアや固有の媒体に捉われずに表現することが可能か。リサーチやフィールドワークを重ねながら、作者である自身の見ているものがそのまま表れているように経験させる手段と、観者がその不可能性に気づく手法を作品に取り入れようと探究している。
シリーズ 〇〇のかたちを探す
たとえば「ゆたかな生活」「しあわせな家族」「安定した職業」「充実した休日」のような、いつの間にか理想像になっている言葉やイメージに、私たち一人ひとりが本当に必要とするかたちは見つけられるでしょうか? 実際の経験では、それぞれがバラバラで、一言でまとめられたり、ひとつのイメージに回収されてしまうものではないはずです。このシリーズでは、毎回ゲストをお呼びし、「遊び」「家族」「労働」「健康」など、各回ごとに違ったテーマを設定して、作品発表とトークを行います。そのなかで、さまざまな概念に対する頑ななイメージについて問い直し、本当に必要なかたちがどの様なものなのか、参加者たちと共に探していきたいと思います。(野本直輝)
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